あなたにとって今年一番おもしろかった、または印象に残った本を1冊紹介してください。
今年は敬遠していた分野に手を出してみようということで、1年丸々日本文学に費やしました。
それから、一生無理だと思っていたプロレタリア文学も、何冊か読んでみました。
昨年は蟹工船が話題になったけれど、
あたしは子供の頃に読んだエミール・ゾラの 『ジェルミナール』 がとにかく苦手で
高校時代に読んだ 『蟹工船』 に至っては、苦手を通り越して嫌悪感を持つほど厭で
その共通点がたまたまプロレタリア文学だったものだから
このジャンルはもう一切読むまいとして来ました。
『蟹工船』 が話題になってプロレタリア文学が再度見直され
これもひとつの機会であろうと試してみたら
好きにこそなれないにしろ、なるほど、ゾラにしろ小林多喜二にしろあれほどまでに嫌ったのは
少女特有の潔癖さ故だったのかもしれないと思いました。
そして何冊か読んでいくうちに、いました、好みのプロレタリア文学作家。
なにが違ったかと言えば、やはり美。
プロレタリア文学特有の、美しくない物事の表現にしても美しい。
敢えて言えばほんの少しロマンティックを加えたゴシックに近い。
中でも 『セメント樽の中の手紙』 の最後には
あたしが美しいと思う谷崎の美学に通じる物がありました。
これからももっと好きになる本がでてくるのだろう。
敬遠していたジャンルに手を出すのは、やはり楽しいことのようです。
最近、人に歴史ありと思った出来事を教えてください。
両親はとても仲が良くて、子供の頃から夫婦喧嘩どころか
ぎくしゃくしている気配にすら気付いたことはありませんでした。
あたしが大人になってから母が 『子供の前で見せなかっただけよ』 と言ったことはあったのだけど
あまり気に留めていなかったというか。
先日実家に行った時、どういった話のきっかけだったか、母が笑って
『実はね、お父さんは寝言で女の人の名前を呼んだことがあるのよ』 と。
びっくりして父を見ると、『あっちゃ~』 なんてふざけながら頭を抱えて笑っている。
呆気にとられていたら、実はそれは部下の女性の名前で
みんなから親しまれている人なので、普段からニックネームで呼んでいたのが出てしまったらしく。
その後特にどうということはなかったようなのだけど
同性として、これは内心穏やかではなかったのだろうなと
両親の思わぬ過去にちょっと驚いてしまった次第。
あなたの好きな童話を教えてください。
ハンス・クリスチャン・アンデルセンの人魚姫です。
報われない悲恋のお話と受け取られがちですが
あたしは、この人魚はかわいそうどころか
とても真っ直ぐでとても強いお姫様だと思うのです。
数年前、大好きな人が愛する人の話をするのを聞きながら
この人にこんなに愛されるなんて、どんな素晴らしい人なんだろうと
おそらく一生会うこともないであろうその人に、憧れのような気持ちを抱いたことがありました。
仲睦まじい2人を思うと、なんとなくほんのりしあわせな気分になってくる。
その気持ちは今も胸の内で温かい。
子供の頃は憤慨した人魚の愛ですが
今は少し解るような気がするのです。
11月11日はチーズの日。チーズを使った料理の中で何が一番好きですか?その理由も教えてください。
Romeu e Julieta / ホミゥ イ ジュリエタです。
厚切りのqueijo de minas ミナスのチーズと
goiabada ゴイアバーダという、グアバを煮詰めたお羊羹のような濃いゼリーを重ねた
ブラジルのオードブルです。
ミナスのチーズは、モッツァレラのようなさっぱりした生チーズ。
最初は、チーズとあたまが痛くなるほど甘いゴイアバーダとの組み合わせに戸惑ったのだけど
『だからロミオとジュリエットなんだよ!』
と言われて納得。
そしてたべ慣れるとやみつき。
機会があれば、ゼヒ。
最近、胸がいっぱいな気分になった出来事を教えてください。
3年前一生懸命応援していた、ほんっとダメダメな人に
赤ちゃんが生まれたこと。
そして、初めて 『ああ、解るよ』 と胸が痛んだこと。
触れられない愛ってあるよね。
そういう意味では言っていないのだろうけど。
遠くから垣間見えるその人は、どうもまだ危なっかしいけど
これからはこの3年で成長した以上に急成長していくんだろう。
あたしも頑張らないと、面目が立たないな。
のんびりと電車の旅ができるとしたら、どこの電車に乗ってみたいですか?その理由も教えてください。
オリエント急行です。
ロイヤル・ブルーの美しい車体に包まれた
アール・デコの寄木やルネ・ラリックのガラスパネル。
来月12日08時59分、ストラスブール着の列車を最後に
126年の歴史に幕が下ろされます。
時代の流れとはいえ、寂しい限り。
人類学者レビストロース氏死去=構造主義の父-100歳
11月4日1時48分配信 時事通信
【パリ時事】20世紀を代表するフランスの文化人類学者・思想家で、西洋中心型の近代的思考法を内側から批判する「構造主義」を発展させ、「悲しき熱帯」「野生の思考」などの著作で知られるクロード・レビストロース氏が10月30日死去した。100歳だった。家族に近い筋が3日、AFP通信に語った。
ブリュッセルでユダヤ系フランス人の画家の家に生まれ、パリ大学で法学と哲学を学んだ。1935~39年サンパウロ大学に赴任し、ブラジルの先住民社会に関する民俗学的調査に没頭。41年、ドイツ占領下のフランスを逃れて渡米、構造主義の言語学者ヤコブソンと知り合い、影響を受けた。
ソシュール、ヤコブソンらの構造言語学の方法を文化人類学に導入、構造人類学を構築し、ブラジル滞在中の体験を盛り込んだ名著「悲しき熱帯」(55年)で脚光を浴びた。
59年高等教育機関コレージュ・ド・フランスの社会人類学講座の初代教授となり、「野生の思考」(62年)を発表。この中で「未開」とみなされた社会の根底に独自の「構造的」知が潜んでいることを明らかにし、西欧中心型の思考体系に根本的反省を促した。
レビストロース氏の思想は、人類学の域を超えて人文社会科学全般に影響を及ぼし、「構造主義の父」と呼ばれた。実存主義をとなえた哲学者ジャンポール・サルトルとの論戦でも知られた。